【プロフェッショナルREPORT】地方創生へのパッション:地方創生の仕事とキャリアのススメ – 横尾隆義

さまざまな地域で廃校の再生や古民家再生、DMC立ち上げなどの地方創生事業に取り組んできた経験を持つ、地域人財基盤(以下、「当社」という)のプロフェッショナルメンバーと、メンバーが語る地方創生キャリアの魅力をご紹介します。

■ 横尾 隆義プロフィール
・一般社団法人地域人財基盤 理事
・株式会社47partners 代表取締役
・公益財団法人地域育成財団 代表理事
・株式会社マイナビ不動産 非常勤取締役
・その他、経済団体 地域創生委員会、各自治体等 外部有識者委員会 などの要職を歴任。

地域資源を活かす地方創生事業との出会い

まずは私の地方創生の事業に取り組むまでのキャリアをお話しさせて頂きます。 大学卒業後、大手コンピュータ会社に入社し、主にコンビニATM導入、チケット購入や公共サービスを受ける情報端末、いわゆるキヨスク端末を設置する業務の発注管理、需要予測など色々なことを経験させてもらいました。

その後、大手ビデオレンタル会社の子会社社長として、ポイント事業の前身となる需要予測に関連する、今でいうところのCRMのような基盤づくりの事業を行っていました。
この頃、経済団体に所属させてもらい、様々な経営陣の方々とお会いする機会が増え、日本の経済に触れていくうちに「日本の未来とは?」ということを考える契機になりました。

その後、保育園の開設や運営を行う企業の役員、代表を歴任し、2017年には縁あって大手人材サービスの理事に就任しました。当時の社長と地域を応援したい熱い想いで意気投合し、新規事業として地域創生事業を立ち上げることになりました。最初に取り組んだのは自治体が保有する空き公共施設の利活用で、人口7,000人の千葉県長南町にある廃校を団体向け宿泊施設として再生させました。

廃校を団体向け宿泊施設として再生した千葉県長南町「ちょうなん西小」

地元の方は何もない町だと仰いますが、「何もないことがそこにある」ということが価値だと感じ、楽しむための要素を散りばめ、あとはアイディア次第で自由な使い方ができることをPRしました。そうすると、ありがたいことにオープンした夏は満員になり、団体向け宿泊施設としてはいきなり黒字になりました。TVなどのメディア露出が増えたことで、町を知ってもらうことができ、移住者が増え、地方創生として一つの成功が築けたと思っています。地域には雇用や関係人口が増えるし、災害の時には地元の人たちの避難所として活躍するし、自治体から見るととても魅力的に見えたと思います。

その流れで、隣の千葉県大多喜町で古民家を再生した一棟貸し宿泊施設や、地域食材イタリアンレストランなどの事業を行い、その後、大多喜町DMC(Destination Management Company)を立ち上げ、代表取締役に就任。観光地域づくりに携わる経験をさせていただきました。それ以外にも、九州沖縄から北海道まで色々なお話を頂き、地域資源を独自の発想で活かす事業づくりに取り組んできました。

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日本の未来には自立できる地域づくりが必要

私が現在地方創生に取り組んでいるのは、経済団体に属したことで日本の経済に触れ、日本の少子化などの課題について考えていくうち、地域が自走していけるような未来を作らないといけないという想いからです。会社であれば、経済が縮小し事業が赤字になったとしても、撤退すれば済む話ですが、自治体はそういうわけにはいかない。私の経験から言うと、地域にいる2人の子どものために費用が莫大に掛かる保育園を維持するという状況がありました。当然子供がいる訳ですから赤字でも無くすことはできません。無くせないのだったら、人数を増やすなど、ギリギリ経営できるところまで持っていかないといけないということがありました。

保育園はほんの一例ですが、人口減少が進む日本の各地域で同様の事象が起きていることを考えたときに、再生とまではいかなくても、最低限インフラが維持できる状態に持っていかないと、都市部でお金を稼いだとしても日本全体としてマイナスを被ってしまう、こんな状況では国際競争力が生まれる訳もありません。だから私は、これからの日本の未来を考えたときに、国だけが地方創生をやるべきではなく、経済界の人たちの視点を地域に向けさせたいと考え活動しています。地域の企業が頑張って頂き、その活動に対して都市部の企業が共感し、投資して活力を与えることで、地域が自走型になれるような仕組みができたら良い、そしてその先に、日本の国際競争力を高めたいという想いがあります。こういう設計をしないと、自分達の子どもの未来には地域や高齢化の負債だけ残されて、問題だらけになってしまうと思っています。
地方創生という言葉はみんな知っているけど、いざ意識して取り組むとなるとできていない。先延ばしにすれば、次の世代が困ってしまう。その課題に対して、自分としてできることを行いつつ、発信していきたいと考えています。

地方創生は面白い、だが、難しい

私は数年間、地方創生に携わり、非常に面白さを感じています。
地方創生としてのキャリアはうまくいけば市長や町長として、地域づくりにダイレクトに寄与できますし、基本的に地域を良くしようというスタンスで取り組んでいるので、本当の意味で反対される仕事ではなく、移住者や子どもが増えたり、観光で誘客したり、地元の事業者の売上が上がれば喜んでくれる仕事です。分野によっては色々とあるかもしれませんが、基本的な意味でWINWINの関係のはずであるべきだと考えています。ましてや廃校や古民家という地域資源の活用は何も悪いことはなく、みんなが喜んでくれる仕事なので、こんなに面白い仕事はないと思います。ただ基本的にかなり難しいということは言えます。人も少ない、経済も縮小している地域が多い中、経済を再生させようとするので、東京でベンチャー企業を経営するよりも難しいかもしれません。難しいから面白いんですけどね。

私が考える地方創生にチャレンジして失敗する人のパターンは、最初から地域に答えを持っていく人だと思います。あくまで地方創生の主体は地域であって、課題をもらう前に答えを出してしまうということは地域課題を無視するということになるので、変に勉強して決めつける人は合わない仕事だと思います。最初から杓子定規で答えを持ってぶつけると、エゴが生まれ、摩擦が生じます。あくまで地域課題をしっかりと受け止め、答えを出すというスタンスでいくと謙虚にならざるを得ないと思います。相手から課題を出して頂けている訳ですからね。もちろん答えを引き出すためのノウハウは必要で、必ず考えを2〜3パターン用意することが大事です。だから今まで私はパッケージした企画は一度も用意したことはなく、全てカスタマイズで取り組んできています。そこも地方創生の面白さなのかもしれません。

地方創生における今後のビジョンと取り組み

当然私も最初からビジョンがあったわけではなく、大手人材サービス会社で地方創生を始めたときは、最初は課題感を持ちつつも、自分でやれることはそこまでないのではないかと感じていました。地域の課題を解決する一助になれば良い、その後同社以外にも波及していけば良いなという少し軽い感じでしたが、取り組んでいくうちに段々と想いが強くなりました。活動を通じて、ビジョンが生まれ、今はどうすべきか?ということがはっきりとイメージできます。 現在、私は人財育成に重きをおいており、一般社団法人地域人財基盤に属しているのも、私の考える人財育成に一番フィットしていて、この団体を通じて、地域で活躍できる人を増やし、伴走を通じて地域の再生、そしてその後に日本が良くなることに繋がっていくと思います。地域を好きになり、地域の人の好きを引き出し、地域全体の熱を高められるようなパッションある人財がいくつもの地域に入り、そういった地域同士がそれぞれ競い合って、さらに良くなっていく。そういった未来を描くことを目指していきます。地方創生の仕事は難しいですが、非常に面白く、やりがいの大きい仕事です。できれば地方創生というキャリアに、個人や企業がより興味を持っていただけると嬉しいですね。

地域人財基盤では、さまざまなプロジェクトを通じて「地域の課題解決」に対して、私たちと共に挑戦してくれる仲間を募集します。 ご興味のある方は以下の記事より内容をご確認ください。
情熱あふれる皆さまのご応募を心よりお待ちしております。

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